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中国の若者の間で広がる“知日”とは?
今月3日、中国では、日本との戦争勝利を記念する大規模な軍事パレードを行われた。“抗日”の宣伝を強める一方で、中国では、今、「日本のことを深く知ろう」という若者たちの動きも広がっている。その背景を原田敦史記者が取材した。
【抗日をアピールする中国】
今年7月、中国政府が外国メディアを招いて行った取材ツアー。案内するのは、軍服姿の係員だ。
案内役の女性「いいですか、皆さん。これは八路軍(人民解放軍)が使っていた3つのエリアです」
この場所、人民解放軍の前身である“八路軍”と旧日本軍との戦いをテーマにした娯楽施設。
我々の昼食場所として指定されている場所なのだが、当時の様子が再現されていて、銃の模型なども置かれている。
“帝国主義による中国の侵略に反対する”という標語が書かれている。
参加した日本やイギリスなど約40人の記者らは「打倒日本」などの標語に囲まれて昼食をとった。
7月以降、中国政府は外国のメディアや外交官に向けこうしたツアーを何度も実施。
今月3日には、外国の首脳らを招いて“抗日戦争勝利を記念”するとして、初めて軍事パレードを行い、戦勝国の立場をアピールした。
しかし、中国では政府の宣伝とは異なる形で、今の日本を深く知ろうという動きが広がっている。
【中国で人気の雑誌『知日』とは?】
先月、上海で行われた本の見本市。会場で若者たちが熱心に見ている雑誌があった。
『知日』といって、日本文化を紹介する雑誌で、今、中国で人気を集めている。
熱心にページをめくり、何冊も購入する人の姿も―。
『知日』とはどのような雑誌なのか、編集長の蘇静さんが取材に応じてくれた。
蘇さん「これが我々が出版した『知日』です。毎号、テーマが違います」
2011年に創刊し、テーマは“武士道”や“暴走族”など多岐にわたる。
“日本人に礼儀を学べ”という特集では、正しい名刺の渡し方や、神社のお参りの仕方まで細かく説明。多いときには10万冊以上売れる人気ぶりだ。
この日、行われた次回の内容についての会議。
実は編集長の蘇さん、日本語がわからないため、日本語ができる編集者が具体的に調べて提案する。
次のテーマは“お笑い”。
女性編集者「“大喜利”は一種のゲームで、司会者が問題を出し、回答が良かった人が座布団をもらえるんです」
1人の編集者は『笑点』などのいくつかのテレビ番組をまとめて紹介したいと提案。
すると、蘇さんは、
蘇さん「この番組(笑点)を見ると、衣装も伝統的で、クリエーティブな内容だ。だから、この番組を単独で扱うべきだと思う」
広く浅い内容ではなく、1つの内容に絞り、より詳しい記事にするようアドバイス。
政治的な話題を扱わず、ごく普通の日本の文化を徹底的に掘り下げるのが人気の秘密だ。
蘇さん「日本を一つの角度から描くことによって、日本の問題を通じて、私たち、中国の問題を映し出すことができる」
【日中両国がより良い関係を築くには…】
北京でアパレル関係の仕事をする張悦さんも『知日』ファンの1人。
日本の音楽が大好きだという。
部屋には“MISIA”や“中島美嘉”のCDもあった。
張さんに、中国政府の“抗日宣伝”が増えていることについて聞いてみると、
張さん「政治に関心がない人にとっては、深く感じるものはないです」「時間がたつにつれて、みんなの日本の対する認識は、どんどん真実に近づいています」
日本に興味を持つ若者が増えている背景。
蘇さんとともに『知日』を創刊した作家の毛丹青さん。
毛さん「日中関係がこじれいって、緊張感が高まっていくうちに、日本を知りたくなる意欲が爆発的に増えてきた」
むしろ、毛さんは今、中国の姿を知ろうとしない日本の若者が多いことを心配している。
毛さん「これだけの中国の若者が日本のことを、奥深くまで知ろうとしている姿を、ぜひ日本人学生に見てほしい」
過小にも、過大にも評価せず、まずは互いの真の姿を“よく知る”ということ。
このスタンスはより良い隣国関係の築くヒントなのかもしれない。
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2015年9月25日 ヤフーニュースより
掲載元:http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20150925-00000045-nnn-int
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