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世界経済どこへ 債務ショック


――米国債が今年8月に格下げされて以降、人民元のドルに対する上昇ペースが速まりました。

「色んな通貨に対してドル安が加速しているからだ。2005年の人民元改革で、人民元価格をドルに連動させるやり方から、ユーロや円など様々な通貨の動きを考慮して決める仕組みに変えた。だから今の局面で人民元がドルに対して値上がりするのは自然だ」





――でも、08年のリーマン・ショックから約2年間、中国政府は人民元の対ドル相場を固定し、危機をしのごうとしましたよね。

「ユーロや円の不安定な値動きの影響を受けるより、基軸通貨のドルに固定した方が経済の運営が安定すると考えた。世界経済が不振な時、ドルは『最も安定な資産』として買われてきた。08年はドルにその機能があると考えられた」

――今回は?

「米国の政府債務(借金)問題は長期的な問題だが、米国債の格下げでドルの長期的な信用低下といった米経済のリスクが改めて印象付けられた。ドルに連動させていると米国内の金融政策や通貨政策の影響を受けすぎる。中国経済がここまで大きくなった以上、それは得策ではない。安定を第一に考える中国にとって、より市場の動きに近い形で人民元相場を決めた方がよい

――貿易など国境を越えた人民元建ての取引の規制緩和も進みつつあります。

ドル依存を下げる為にも、もっと使いやすくすべきだ。国内経済への影響を見ながら、今後5年でかなり進むのではないか」

――08年は物価が下落傾向でしたが、現在は上昇傾向が続いています。

「インフレ抑制が大きな課題となっている中国にとって、人民元高は資源などの輸入価格を引き下げる効果があり、(中国経済には)プラスになる」

――米国は今後、追加の金融緩和に踏み切る可能性があるとみられています。中国への影響は。

「当然ある。ドルが世界中に溢れだし、中国など新興国にとっては悪夢だ。規制をしても、一部は規制を潜り抜けて投機マネーとして中国に入り込み、資源などの価格を押し上げる可能性もある」

「だが、中国経済の成長は、短期的には大きな問題ではない。物価もコントロールできる範囲内だ。世界経済の減速もあって、物価上昇のピークは過ぎた」


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2011年9月7日 朝日新聞 13版 国家発展改革委 対外経済研究所研究員 張燕生氏へのインタビューより
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