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コラム:人民元、国際化の取り組み再開が相場押し上げへ

中国政府が、しばらくなおざりにしてきた人民元の国際化に再び動き始めた。
欧州各国の中央銀行が準備高に人民元を組み入れ始めているのも追い風だ。
中国政府による締め付けが緩んでいるように見えることなどもあり、人民元相場はさしたる抵抗を受けずに一段と上昇してもおかしくない。




外国投資家に対して人民元を取引に利用するよう促す動きはここ最近、滞っていた。
2014─15年の相場下落で多くの投資家が人民元を敬遠し、米国が利上げ局面に入ると大量の資金が人民元からドルに流入したため、あわてた中国政府が資本市場への規制を強めた。

結果として人民元は決済通貨として魅力を失い、海外の人民元建て預金や債券(点心債)から資金が流出した。
国際通貨基金(IMF)は2016年に人民元を特別引き出し権(SDR)の構成通貨に採用したが、17年第3・四半期のIMF外貨準備のうち人民元は1080億ドルにとどまり、全体の1%にも満たない。

だが、米国でトランプ政権が誕生して以降、国際市場における中国の立ち位置を再評価する動きが広がっている。
習近平国家主席が推進する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」が、人民元の国際化を促しているとの指摘もある。

中国政府の政策への期待も相場を後押しし、人民元はドルに対し16年後半と比べ8%以上も上昇した。
一部のエコノミストは、中国政府はそうした元高への違和感を強めていると考えている。
しかし人民元建て資産需要は相場動向と関連しており、介入によって相場を強引に修正すれば海外勢の需要を削ぐだけだ。

人民元が大幅に過大評価されているようにも見えない。現在は1ドル=6.4元だが、相場高騰を受けて最後に中国の人民銀行(中央銀行)が介入した際の水準は6.0元で、当時の実質実効レートは過去最高値だった。
それ以後相場は大きく下げている。
中国は貿易黒字基調を維持しているので、元高は通貨の過小評価に基づいて輸出が伸びているわけではないと証明する形となり、黒字に対する一部の批判をかわせるかもしれない。

背景となるニュース

*ドイツ連邦銀行のアンドレアス・ドンブレット理事は15日、人民元を外貨準備に組み入れることを決めたと発表した。

*発表を受けて、人民元は15日、対ドルで約2年ぶりの高値を付けた。

*欧州中央銀行(ECB)も昨年6月、5億ユーロ相当のドル建て準備を人民元に入れ替えたと明らかにしていた。


2018年1月16日 ロイター通信より 掲載元

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